Kioku

記憶の記録

屋上での秘密

あれは中学校の卒業式前日だった。
私は同じクラスだった女子のマミコ(仮名)と放課後学校の屋上で夕焼けを見ていた。
夕焼けを見ながらマミコが私だけに話した事、今でも覚えてるよ。

マミコとは同じバレーボール部だった。
偶然クラスも3年間一緒だったが、ずっと男子さながらのスポーツ刈りヘアの個性的な子だった。
中学1年生のバレンタインの時は自分より小さいサッカー部の可愛い男子にチョコを渡していた。
残念ながら恋は実らなかったらしいが、ちゃんとチョコは受け取ってくれたみたい。
それ以降は「好きな人がいない」と話していた。

そんなマミコの口から意外な話を聞いたのが卒業式前日の放課後の屋上だった。
「実はつい最近、2組の早苗さん(仮名)に好きって告白したんだよね」
早苗さんは女の子だ。
同学年で他のクラスの子だったけど私も早苗さんの顔は知っていた。
当時はまだLGBTには寛容ではない時代。
でも私はマミコの話を聞いて「そう言うのもあり」だと感じたので大きな動揺はしなかった。
「そうなんだ!で、返事はどうだったの?」
「OKくれて、今度一緒にディズニーランドに行く事になった」
照れているマミコ。
「良かったじゃん!上手く行くといいね。楽しんで来てね。で、いつから好きになったの?」
「うーん、気が付いたらいつも早苗さんを目で追っていてね…卒業しちゃうと会えなくなっちゃうし、それで告白しようと思ったの」

卒業後、マミコは女子高へ進学した。
その後2人がどうなったか、そしてマミコが今どうしてるのかは分からないけど、幸せな人生を歩んでいたらいいなって思ってる。